Home >所長日記「修復の日々」
不安そうにお待ちかねだった皆さん方の梱包を解かれたお像と対面した時の喜び様を見ていると、この仕事の本当の醍醐味を感じます。(2009.12.21 現地撮影)吉備文化財修復所の仕事場としては珍しい、金銅仏の修理を行いました。
(2009.12.5 現地撮影)
内部の整理と補修は、これからも続けなければなりませんが、家を残したいという、単なる自分の思いを超え、周囲の期待や関心は大きく、この修理がきっかけで今後、当初思った以上の展開をしていくことになりそうです。
これがその写真です。
たまたま、私の知り合いが全くそれとは知らずに、昨年ケイタイで撮っていた写真です。
町家の修理は順調に進み、屋根の葺き替えも終わり、今は外の漆喰壁を塗り始めています。
車が上がれない山の中腹にあるお堂なので、毎年登山をしなければなりません。
離れているので直接作業に関わるわけではありませんが、日々作業が進行している報告を受けるのは、嬉しいことです。写真(鉾立工務店撮影)は屋根の葺き替えを始めているところです。(2009.9.16)今月は初日に仏像の引取りに行って来ました。ここの方々とは25年前に別件でお会いして以来ですが、今回またお世話になることになりました。
いつもながら不思議です。(2009.7.1)これは東京都台東区にあるお寺の脇門です。現在門は工事中で大きな屋根ですっぽり覆われおり、その足場に上ってとった写真です。
管理者の方始め、大勢のご近所の方々が1000年この土地から出たことのない仏様の入院を名残惜しそうに、見送りに集まりました。
午前中に搬入と安置をして、午後から修理の報告を兼ねた講演を行うという、忙しいスケジュールになってしまいましたが、無事に全て終わりほっと一息ついています。
<2010年 2009年
修復の日々お知らせ一覧
<2010年 2009年
正月6日におこもりをしながらこのお像と対面するのが、土地の人達の昔からの習わしだそうです。 2009.12.9熱心な社寺会の方々が大勢集まり、ご本尊のお帰りを出迎えて下さいました。
修理報告書を元に社寺会の方々に修理内容の説明11月連休の22日は山形県上山の工房で、「彫刻文化財修復勉強会」があり、次の23日には、修理していた町家の完了引渡しと、市の確認検査のため岡山に行って来ました。
(2009.11.28)修理していた町家は、外観がほぼ完成に近づきました。漆喰の白壁と新しい千本格子の建具が美しく、観光客や近所の人々が、足を止めて見てくれます。下は修理前の同じ家の写真です。(提供:北川美穂氏 2008.12.5 撮影)
今月末にはきれいになって道行く人々にも見てもらえることでしょう。
この7~8年継続し,仏像群の修理を毎年2~3体づつやっています。息を切らせてお堂の前に立ち、手を合わせると平地での拝観とは違う、さわやかさとありがたさを感じます。
この件については、また報告します。
このお堂は地区で管理されております。
何度も梅雨時の搬出入をしておりますが、一度として雨に合ったことがありません。
この門に掛けられている扁額(へんがく:横長で文字の入っている額)の、修理を依頼されました。普段はこの位置に額が掲げられているそうです。
(2009.6.11)週に2~3日は、1時間ほどかけて分室に通い、作業をしています。 不便な面もありますが、お寺の境内の静かな環境で、小鳥のさえずりを聞きながらひとつの物件だけに集中作業出来るのは、最高の贅沢かも知れません。
(2009.4.15)仏像の搬出入は、梅雨の真っ最中でも必ず晴れるものなのですが3月3日は山の中のお堂で、雪の日の搬出となってしまいました。仏像の梱包を終え、囲炉裏に入った火を皆で囲みながらその地方伝統のヤツガシラ(芋)の串焼きを食べたことが白く染まった山里の美しい風景とともに、とても印象的でした。(2009.3.19)一年半お預かりしていた、涅槃像が修理を終え、お還りになりました。
(2009.2.10)△
修復の依頼について
2009.12.25今年最後の仕事を納めてきました。あの3月の雪の日に搬出した仏様です。工房から現地まで5時間以上、山道を2時間近くも走ります。幸い今回は12月とは思えぬ穏やかで暖かな日でした。
朝から曇り空でしたが搬入が終わったとたん本格的に雨が降り始め今回も雨に合わずにすみました。
8月から始めていた町家の修理は、多くの人々の協力のおかげで、今回予定していた工事を無事終えることができました。
物を残すことの意味をあらためて感じています。
全くの偶然ですが、なにか人を引きつけるものがあったのでしょうか。(2008.10.20)
一年半かけて制作していた観音像が完成し、納めて来ました。 依頼者と紹介者の強い思いに導かれ、木という素材のすばらしさを再認識する貴重な日々でした。
この家の修理と今後のここでの活動については、そのうち別に報告のページを作ります。(写真提供:鉾立工務店)(2009.10.4)
一ヶ月、間が抜けてしまいました。夏休みもありましたが、このひと月程は修理完成した物件の搬入や、新しい依頼のための搬出が目白押しでかなり忙しかったのです。
実は、8月にはとても大きな動きもありました。築100年になる町家の修復を始めたのです。出来るだけ現状を維持しますが、現代の人間が生活することを目的とし、そのために必要な、新しい命を吹き込む「再生修理」です。我々が通常仏像に行っている文化財修理とは、異なった考えに立って行うものですが、あらためて「修復」という行為の意味について、考えさせられます。
梅雨のまっただ中の搬出でしたが、全く雨にあうことはなく、まぶしい程の夏空の下での作業となりました。
この扁額は百数十年前のものでそれほど古くなく、文化財指定もないため、きれいに塗り替えられる門に合わせて、一部お化粧直しをします。かといって、残こされている歴史性を、出来る限り後世に伝えたいとは思いますので、そのための新しい工夫をするつもりです。
(2009.5.18)
小さな毘沙門天像の修理が終わりました。湖畔のおだやかな気候と自然の風物に恵まれた土地柄。このお寺に最初に伺ったのは今から20年以上前になります。その後、長い空白の期間も経ながらまた、ひとつ仕事を納めることが出来ました。
仏像は、工房で患者さんとしてお付合いしているよりも、やはりあるべき場所で拝む姿の方が、良いものだとあらためて思いました。 (2009.2.18)
今年は一年がかりの修復作業で、また外に工房を構えることになりました。その作業場から、宙に吸われるように育ったメタセコイアの大木を見ることができます。葉の落ちた枝振りは、ちょうど葉脈だけになった枯れ葉が、立っているようでもありますが、少し窮屈に列んだ7本は、遠目に見るとひとつの巨大な葉っぱの姿をしており、離れて立った1本には、大きな鳥の巣が、かかっているのが見えます。暖かくなったら、主が戻って来るのでしょうか。今から少し楽しみです。
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設立目的
吉備文化財修復所は、仏像や神像など日本の古典彫刻の修復・調査・研究・人材育成を目的として設立されました。
概要
社名:吉備文化財修復所
住所:さいたま市北区植竹町1-587-5
設立:昭和63年10月20日
代表:牧野 隆夫
業務:古典彫刻の修復・研究・制作およびそれらに関連する仕事